2015年度エスノメソドロジー分析入門連続セミナー

エスノメソドロジー分析入門セミナーについて

告知掲載:2016年02月18日|開催報告掲載:2016年03月16日

下記のとおり、2015年度エスノメソドロジー分析入門セミナーのお知らせをいたします。

多種多様な「データ」を用いて研究するエスノメソドロジーには、会話分析のように分析の道具立てが標準化されている領域を除けば、決まった分析の方法というものがありません。このことは一方でエスノメソドロジー研究に携わることを難しくし、他方でその分析の妥当性について疑問がもたれやすい要因となっています。しかし、決まった方法はなくても、どんなデータに向かうときにもエスノメソドロジー研究者が気にかけている分析の視点ないし方針は存在します。この連続セミナーでは、とくに「会話データ」以外を分析対象として実際にエスノメソドロジー研究をおこなうための、分析の視点をレクチャーします。

なお申込は先着順となり、定員に達し次第締め切らせていただきます。ご希望の方はお早めにお申込ください。

開催報告を掲載しました。

日時

開催日 2016年3月12日(土)
開催場所 東京大学駒場キャンパス2号館303号室[地図] [Google地図]
10:00-12:00
  • 「エスノメソドロジーの視点」(セミナー番号15em01)
    • 講師:須永将史
    • 定員:20人
    • 参加費・資料代等:会員 1500円/一般2500円
13:15-15:15
  • 「フィールドノートの分析」(セミナー番号15em02)
    • 講師:須永将史
    • 定員:20人
    • 参加費・資料代等:会員 1500円/一般2500円
15:30-17:30
  • 「テクストの分析」(セミナー番号15em03)
    • 講師:河村 賢
    • 定員:20人
    • 参加費・資料代等:会員 1500円/一般2500円

各セミナーの講師と内容紹介

「エスノメソドロジーの視点」(セミナー番号15em01)

講師
  • 須永将史(神奈川大学非常勤講師)
代表業績
  • 須永将史(2015)「相互行為のなかのジェンダーと身体―ケア実践の記述に向けて」首都大学東京博士論文
  • 須永将史(2013) 「マッサージの手順が違反されるとき」『共感の技法:福島県における足湯ボランティアの会話分析』勁草書房, pp.29-47.

セミナー内容

このセミナーでは、データを分析するにあたって、エスノメソドロジーがとる方針・視点について学びます。エスノメソドロジーは、他の社会学の調査方法と同様に、なんらかの実践や活動を対象に研究を進めます。ただし、他の調査法方法と異なるのは、その実践や活動に参加しそれを営む社会成員が、何を/どのように考え、実際におこなっているのかということを重視するという点にあります。セミナーでは、有名な研究事例を紹介することで、データが異なっても共通に維持されているエスノメソドロジーの態度を感じていただければと思います。

「フィールドノートの分析」(セミナー番号15em02)

講師
  • 團康晃(東京大学)
代表業績
  • 團康晃(2014)「学校の中の物語作者たち――大学ノートを用いた協同での物語制作を事例に」『子ども社会研究』(20),pp. 3-16.
  • 團康晃(2013) 「学校の中のケータイ小説 ――ケータイ小説をめぐる活動と成員カテゴリー化装置」『マス・コミュニケーション研究』(82) pp.173-191

セミナー内容

フィールドに入る。そこで参与観察をしたり、聞き取りをしたり、メモをとる。そうする中で蓄積されるデータ。しかし、いざデータを分析しようとするとき、どのように分析をすれば良いのか。本セミナーでは、エスノメソドロジーの視点から、参与観察や聞き取りをする中で書かれたフィールドノートをどのように分析するのか、そのやり方を学びます。具体的には、

  1. インタビューデータやフィールドノートなど、フィールドワークで得られたデータの扱い方。
  2. 蓄積されたデータの中から分析対象・分析の方針を絞る際のやり方。
  3. そして具体的なフィールドノートの分析の仕方。

この三点について、具体的な事例をもとにお話しします。さらに以上の内容を踏まえ、具体的なフィールドノートの分析の実習を予定しています。

「テクストの分析」(セミナー番号15em03)

講師
  • 河村 賢(日本学術振興会)
代表業績
  • 河村賢(2013)「「ルールに従うこと」はいかにして記述されるか——サールの外在的記述と初期ロールズの内在的記述の差異について」『現代社会学理論研究』 (7) , pp. 80-93.
  • 河村賢(2013)「テロリズム研究における宗教的動機の概念分析——「新しいテロリズム」論争を事例として」」『ソシオロゴス』 (37), pp. 1-19.

セミナー内容

広告のキャプション、マンガの吹き出し、学術的な研究書、歴史的な資料など、私たちの身の回りには様々なテクストが溢れています。そうしたテクストに接する時、私たちは単にその意味内容を読み取るだけでなく、それらがそれぞれの文脈に応じた用途を果たしていることを理解しています。こうした多様で固有な用途を持つテクストの理解は、どのようにして可能になっているのでしょうか。本セミナーではこのような立場からテクストの分析を行うために必要な考え方を学び、参加者皆で具体的なデータ分析の実習を行います。特に人々の間における理解の違いがトラブルになりうる場面に光を当てるため、ある差別表現とそれをめぐる議論を題材として取り上げる予定です。

申込と参加方法

  1. 下記リンク先の申込フォームよりお申込ください。受付は先着順となりますが、実際に分析に携わっている/携わろうとしている方を優先したいと考えているため、若干の調整をおこなう場合もあります。あらかじめご了承ください。
    • 「エスノメソドロジーの視点」(セミナー番号15em01) [申込]
    • 「フィールドノートの分析」(セミナー番号15em02) [申込]
    • 「テクストの分析」(セミナー番号15em03) [申込]
    • ※複数のセミナーへのお申込も可能です。その場合、お手数ですがセミナーごとにそれぞれお申込の手続きをお願いします。
    • ※会員と非会員で参加費用が異なります。各セミナーの申込サイトには会員価格しか表示されてない場合がありますのでご注意ください。
  2. 参加費は会場でのお支払いとなります。その場で領収書を発行いたしますので当日直接会場にお越しください。なお会場および事前の課題等について講師から連絡があった場合は講師の指示に従ってください。

お問い合わせ

  • エスノメソドロジー/会話分析研究会セミナー企画担当 seminar[at]emca.jp