2015年度第1回会話分析入門セミナーのお知らせ

会話分析入門セミナーについて

告知開始:2015年10月29日|開催報告掲載:2015年10月29日

会話分析は現在、社会学、言語学、認知科学等の多様な分野で活用されている研究方法ですが、残念ながら日本では、体系的にその思考法や分析技術を学べる研究機関はほとんどありません。そのためエスノメソドロジー・会話分析研究会では、会話分析に関心があり、学んでみたいと思っている大学院生・研究者の方向けに昨年度から入門セミナーを開催しています。関心ある方のお申込をお待ちしております。

研究会会員には参加費の割引もございますので、これを機会にぜひ入会もご検討ください。(→入会のご案内)

概要

日時

2015年11月28日(土)
09:30-11:30 「トランスクリプトの作り方」(講師:山本真理)(セミナー番号15ca01a) 【申込】
13:00-15:00 「順番交代の組織」(講師:鈴木理恵)(セミナー番号15ca01b) 【申込】
15:15-17:15 「行為連鎖の組織」(講師:黒嶋智美)(セミナー番号15ca01c) 【申込】
2015年11月29日(日)
09:00-11:00 「相互行為における非言語的資源」(城綾実)(セミナー番号15ca01d) 【申込】
13:00-15:00 「修復の組織」(講師:平本毅)(セミナー番号15ca01e) 【申込】
15:15-17:15 「ビデオデータの撮り方」(講師:秋谷直矩)(セミナー番号15ca01f) 【申込】

※ご参加を希望されるセミナーごとに上記リンク先からお申込下さい。セミナーと講師の詳細は下記のとおりです。

その他

場所 早稲田大学 22号館 日本語教育研究センター 601教室(「トランスクリプトの作り方」のみ同201教室)
定員 20名(セミナーごと)
参加費 EMCA研会員1500円/非会員2500円(セミナーごと)

セミナー詳細

「トランスクリプトの作り方」 (セミナー番号15ca01a)

講師
山本真理(早稲田大学日本語教育研究センター

本セミナーは、会話分析のデータの書き起こし方法について初めて学ぶ方を対象とします。会話分析では、収録された音声データや映像データを繰り返し見たり聞いたりすることによって、発話内容だけではなく音の大きさや速さ、呼気・吸気等まで忠実に書き起こします。そのため、書き起こされたもの(トランスクリプト)には多くの記号が用いられ、一見複雑に見えます。本セミナーの前半では、なぜそうした複雑な書き起こしが必要なのか、具体的な研究成果を参照しつつ、受講生のみなさんと一緒に考えます。また、書き起こしに用いる様々な記号やその意味について解説します。後半では、実際にデータを書き起こす練習を行います。

「順番交代の組織」 (セミナー番号15ca01b)

講師
鈴木理恵(成蹊大学国際教育センター常勤講師)

本セミナーは、会話分析の基本的な手続きである「順番交替組織」を取り上げます。会話参加者のうち誰がどれぐらい話すかが事前に決まっていない、ごくふつうの日常会話の場面では、いつ誰がどのように話し手になっていくのでしょうか。話し手の順番交替がどのようにおこなわれているのかについての会話分析的な考え方について、会話データを検証しながら確認していきます。会話者間の実際のやりとりをつぶさに観察することを通して、”スムーズな会話”というものがどのように組み立てられていくのかを丁寧に見ていきます。

「行為連鎖の組織」 (セミナー番号15ca01c)

講師
黒嶋智美(日本学術振興会/千葉大学)

本セミナーでは,発話によってさまざまな行為が達成され,それが秩序立てられた発話のつながりのなかで産出されていること,つまり会話の中に見られる「行為連鎖組織」について取り上げます.会話の中で,行為が「連なる」とはどういうことなのか,それはどのように認識可能になっているのか,それによって何が達成されているのかといった点について,会話データを元に丁寧に確認していきます.行為の連なりの組織に注目することで見えてくることは何か,また,どのように実際に会話データを分析し始められるのか,その足がかりとなるような,会話分析における,会話データの「見方」を演習形式で学んでいきます.

「相互行為における非言語的資源」 (セミナー番号15ca01d)

講師
城綾実(京都大学物質-細胞統合システム拠点科学コミュニケーショングループ特定研究員)

様々な場面を記録し映像データとして扱うことが容易になるにつれて、身体の動きや配置および道具等の物質的資源を取り扱う相互行為研究が増えてきました。しかし、いわゆる非言語的資源を扱うための方法論はそれほど体系立っていないため、何をどう転記すべきか等、分析を始めたいと考えている人にとってはいくつもの壁があります。本セミナーでは、先行研究から非言語的資源を取り扱う視点を概観し、映像データを用いた非言語的資源の分析、分析箇所のプレゼンテーションの仕方などを実習形式で学びます。研究過程に即した講師の体験談や使用しているツールを紹介することで、非言語的資源を扱うための足がかりを掴める場にしたいと考えています。

「修復の組織」(セミナー番号15ca01e)

講師
平本毅(京都大学 経営管理研究部附属経営研究センター特定助教)

会話の中では、相手が何を言ったのかわからなかったり、自分が言いたい言葉が出てこなかったり、両者の理解に食い違いが生じたりといったことが頻繁に観察されます。こうしたトラブルは会話の滞りない進行を妨げかねないものなので、それに対処する必要が生じます。この対処を行うために用意された体系的な組織が、修復組織です。修復組織は会話分析研究の初期から取り上げられてきましたが、近年、その流れが整理されるとともに、修復によって、上記のトラブルに対処する以外のどんな行為がなされるかを調べる研究が増えてきています。このセミナーでは、どんな出来事を修復と呼ぶか、修復の基本的プロセスはどんなものか、修復によってどんな種の行為がなされるか等々をおさえることを通じて、修復組織の基本的な概念とその実際の分析における扱い方を学びます。

「ビデオデータの撮り方」(セミナー番号15ca01f)

講師
秋谷直矩(山口大学国際総合科学部助教)

撮影機器を比較的簡単に入手・使用することが可能になり、個人でも人々の活動を撮影し記録に残すことができるようになりました。これは、人々の日常的なやり取りに関心を向ける研究者にとって、非常に重要なことでした。それはつまり、撮影機器を研究に導入することによって、1.人々の活動を会話やジェスチャー・視線・身体配置およびそれらと使用する道具や周辺環境とのかかわりについて、実際の手続きを見ることができるようになったこと、それを2.「繰り返し」見ることを可能にしたということ、そして3.多人数でひとつのデータを検討することを可能にしたということです。実際、エスノメソドロジー・会話分析研究を行う多くの研究者はビデオカメラを使用するようになりました。本セミナーでは、以上のような展開の背景を学習したうえで、実際に一人でビデオカメラを用いながら実践的に学習していきます。ビデオ撮影がうまくいくかどうかで、その後のトランスクリプト作りやデータコレクションの作成、ひいては分析の出来不出来は大きく変わってきます。調査・研究をスムーズに進めるための「失敗しない撮影法」を学んでいける場にしたいと思います。

今年度のセミナー予定

お問い合わせ

  • エスノメソドロジー/会話分析研究会セミナー企画担当 seminar[at]emca.jp