この度、EMCA研究会から、研究会開催支援を受けて、以下のとおり講演会を開催することができましたことを報告申し上げます。
2025年5月22日(木)18時より、Dr. Christian Greiffenhagen (The Hong Kong Polytechnic University)をお迎えし、講演会を慶應義塾大学三田キャンパスにて参加費無料で行ないました。オンラインでの参加希望もありましたので、ハイブリッド形式で行いました。参加者は34名でした。
講演のタイトルは、’May I please pass’: Distinctive features of logistics robots in urban spaces.(「通らせてください」:都市空間における配送ロボットの特徴)で、Shan Shan Li (The Hong Kong Polytechnic University)とStuart Reeves (University of Nottingham)による共同研究の成果です。その内容は、中国の大学キャンパスにおける配送ロボットのビデオデータの分析に基づいたものでした。データは、カメラを持った研究者が自転車やスクーターでロボットを追跡するとともに、ロボットには360度カメラを設置することで得られたものです。ロボットと人々との出会いは実に様々なものでした。歩行者、自転車利用者、自動車運転者など、移動する人々とのさまざまなインタラクションはそれぞれ興味深いものでした。ロボットに対して道を譲ろうとする自動車の運転者とのやりとり、「蓋を閉めてください」と繰り返すロボットに対して何もせずに通り過ぎる人が続くなかでやっと反応して閉めてあげる人、「ふたりだけにしてちょうだい」とロボットに言い放つカップル、バスに乗り込むために列を作っている人々を前にして「通らせてください」と言い続けるロボットの光景など、Greiffenhagen氏は次々にインタラクションのトラブルとも言えそうな場面から分析の可能性を提示しました。
質疑応答では、参加者(対面・オンライン両方)からもさまざまな質問や分析可能性が活発に提示されて議論がなされ、Greiffenhagen氏ご自身にとっても今後の分析を進める上で参考になるやりとりができて、大いに刺激になったとのことでした。
また、講演会後のやりとりで明らかにされたことなのですが、ビデオで撮影されたロボットは、実際にキャンパスで利用されている配送サービスの一環で走行しているものとのことで、中国の各地のキャンパスではある程度馴染みのある光景のようでした。
なお、当日参加されたなかには、EMCA研究者のみならず、ロボット研究者もいらっしゃり、質問をなさっていました。
このように、研究会開催支援をいただいたことにより、学際的かつ国際的な素晴らしい機会を設けることができました。ここに御礼申し上げます。
2025年6月1日
慶應義塾大学文学部
池谷のぞみ