2021年度 春の研究例会

概要

2022年3月27日(日)に、以下の通り、EMCA研究会春の研究例会をオンラインで開催します。
午前は自由報告です。午後はテーマセッション「複合感覚性を記述する:映像データからどこまで迫れるか」です。
みなさん、ふるってご参加ください。お待ちしております。

ご参加には事前の登録が必要となります。 以下のURLから 3月25日(金)までにお申し込みください。
お申し込みをされますと、 ご参加の際の注意事項や資料の入手先を含む、当日の情報がご登録されたメールアドレス宛に送信されます。
ご不明な点がございましたら担当世話人宛にご連絡ください。

<参加登録先>
https://ritsumei-ac-jp.zoom.us/meeting/register/tJUkc-6gqzIsE9R9EODkuixVqRkibx6OL0GY

<お問い合わせ先> 
EMCA研究会世話人 研究大会企画担当<sewanin-info [at] emca.jp>

プログラム

9:50開場
10:10-11:4010:10-10:15 開会の辞
【第一部】自由報告
10:15-10:55 鈴木南音(千葉大学/日本学術振興会)
「 演技を演技として見る:演技の理解可能性についてのマルチモーダル分析 」[→要旨
11:00-11:40  安井 永子(名古屋大学)・梁 勝奎(名古屋大学)・吉田 実央(名古屋大学)・張 嘉倫(名古屋大学)
「 日常の活動における発話冒頭の「さあ」:制度的場面としての活動の開始や移行の達成 」[→要旨
11:40-13:00お昼休憩
13:00-16:25 【第二部】テーマセッション「 複合感覚性を記述する:映像データからどこまで迫れるか 」
13:00-13:15 趣旨説明
13:15-13:50 坂井 愛理(東京大学)
「 身体評価における視覚と触覚 」
13:55-14:30 南 保輔(成城大学)・西澤 弘行(常磐大学)・坂井田 瑠衣(公立はこだて未来大学)・岡田 光弘(成城大学)・佐藤 貴宣(立命館大学)・吉村 雅樹(グッドビレッジ)・秋谷直矩(山口大学)
「 視覚障害者の歩行訓練と複合感覚性:反響定位を中心に 」
14:35-15:10 平本 毅(京都府立大学)
「味わうことの実践的編成」
— 休憩 —
15:25-15:55 パネルディスカッション
(ファシリテーター:城綾実、登壇者:テーマセッション報告者)
15:55-16:25 総合討論
16:25-16:30閉会の辞

自由報告要旨

鈴木南音氏「演技を演技として見る:演技の理解可能性についてのマルチモーダル分析」

本報告は,舞台芸術の稽古場面に追いて,演技を演技として理解させるために,俳優や演出家が用いている相互行為的なプラテクティスを解明するものである.これまで,舞台芸術の稽古を分析した研究として,後安美紀・辻田勝吉(2007)やA. Lefebvre(2020)の研究があるが,これらの研究においては,既に演技が演技として理解されていることは分析の前提となっており,それ自体が問われることはなかった.ところが,演技が演技として理解されるということは,それほど単純ではない.現代演劇においては,一般的に,「世界をダイレクトに描写する」(平田オリザ 1995: 28)ような,日常的な発話と台詞とを接近させることが目指されており,そこで営まれている状況から俳優だけを切り取って,ある行為を演技として同定することは困難である.とくに,演劇の稽古場においては,ただ舞台とみなされた,(物理的な)空間で行為をすれば,それが演技としてみなされるというわけでもない.舞台上とされた空間のなかでも,演技以外の様々なやりとり(たとえば,俳優同士が互いの演技について確認をするようなこと)がなされるからである.演技の理解可能性は,物理的な空間だけでなく,それが行なわれた社会的状況に埋め込まれている.そうだとすれば,演技としての理解可能性を形作る社会的状況が,いかに構成されているのかは,社会学的探求の課題たりうるはずである.そこで,本研究では,「参与フレーム」(西阪仰 1992)概念を補助線として用いて,いわば,「舞台」がいかに相互行為的に形作られているのか,このことを,演出家・俳優の,発話や身体の配置の分析を通して明らかにする.

安井永子・梁勝奎・吉田実央・張嘉倫「日常の活動における発話冒頭の「さあ」:制度的場面としての活動の開始や移行の達成」

本研究では、発話が中心となる活動と身体動作が中心となる活動の両方において、活動の開始や移行の位置で用いられる発話冒頭の「さあ」に注目する。「さあ」には、直前の発話に対して不確実性を示す応答詞的なもの(「さあ、どうでしょう」等)の他に、応答の機能を含まない間投詞的なもの(「さあ、始めましょう」等)があると言われている。しかし、様々な日常の活動におけるその相互行為上の働きについてはまだほとんど研究されていない。本研究の目的は、会話分析の手法により、「さあ」の相互行為的役割、及び、その使用における参与者の指向性について、それが用いられる活動や連鎖位置、及び、身体動作とのかかわりから解明することである。
分析対象としたのは、制度的場面を含む日常の様々な活動場面のビデオ収録データ及び、テレビやインターネット番組の収録データである。まず、「さあ」の使用場面、使用する参与者、後続する発話様式をもとにした分析より、「さあ」が、制度的場面と日常場面のいずれの場合でも、参与者によって制度的場面特有の言語アイテムとして扱われることが見られた。次に、「さあ」の用いられる活動や連鎖上の位置に着目すると、それが、活動の境界をマークし、新たな開始や次の展開への移行を可能とすることが明らかになった。発表では、「さあ」が、発話のみならず、身体動作によっても明らかにされていく活動の展開に応じて産出されていることも示す。