2025年度エスノメソドロジー・会話分析研究会セミナー:多様なデータタイプの分析入門

今回のセミナーは、EMCAの考えのもとで社会生活のさまざまな場面で行われている諸活動に着目しようとする際に、どのように調査を進め、どのようなタイプのデータを収集し、どのように分析をすればよいのかよくわからない、と感じている方を主な対象としたものです。これまでEMCAは、フィールドワークやインタビューなど、多様な調査手法にもとづく研究を生み出してきましたが、具体的な調査・分析の進め方を学ぶ機会が十分にあるわけではありませんでした。そこで、質的研究における主要な調査手法であるフィールドワークとインタビューをベースにしたEMCA研究に精通しておられる講師の先生方にセミナーをご担当いただき、関連する研究動向やご自身の研究をご紹介いただくとともに、受講者のみなさんが実践的に学ぶことのできるような講義をしていただきます。

概要
【日時】2026年3月27日(金) 13:00~17:15
【実施形態】対面形式
【会場】同志社大学 今出川キャンパス 良心館3階 RY301教室
【参加費】下記の通り。いずれも1テーマあたりの参加費になります。
・EMCA研究会会員 :500円
・EMCA研究会非会員:1,000円
【定員】20名(セミナーごと)
【注意事項】
・お支払いはPeatixを通しての事前支払いのみとなります。当日の現金支払いは受け付けておりませんので、あらかじめお申込・お支払いをお願いいたします。
・準備の都合上、3月24日(火)23:59までで申込を締め切らせていただきます。
・申込期間内でも、定員に達した時点で、予告なく申込を終了させていただくことがあります。参加をお考えの方は、お早めにお申し込みください。

【プログラム】
(1)13:00~15:00「会話分析とフィールドワーク」
講師:戸江哲理(神戸女学院大学)
申込みページ:https://emca-fw.peatix.com

(2)15:15~17:15「エスノメソドロジーとインタビュー」
講師:布川由利(和歌山大学)
申込みページ:https://emca-iv.peatix.com

【セミナー詳細】

「会話分析とフィールドワーク」
講師:戸江哲理(神戸女学院大学)

社会学者が会話分析に興味をもつルートは2つあるような気がします。ひとつは、やりとりのしくみが社会秩序を成り立たせているという事態への、いわば理論的関心から。もうひとつは、自らが関心を寄せるフィールドで起こっていることを、相互行為のレベルで理解したいという、エスノグラフィックな関心から。私自身は、前者への関心から会話分析への道を歩みはじめ、曲がりなりにも自らのフィールドを見つけて以降は、後者の道から会話分析にアプローチしてきたといえそうです。フィールドワーカーは現場に通い続けるなかで、その社会的世界についての知識や経験を積み重ねていくでしょう。では、それらはやりとりの検討にどう活きてくるのか(あるいは、活かされるべきではないのか)…。後者の道上にはそれ独特の問いが立ち上がります。このセミナーでは、フィールドワークにもとづく会話分析的な研究を進めるうえでの、こうしたプラクティカルな課題に、私がどう向き合ってきたかのかを、ささやかながらも続けてきた「子育てひろば」の研究を主な具体例として、紹介したいと思っています。たとえば受講生の経験や抱える問いを共有するなど、何らかのアクティビティも適宜交えながら、会話分析にもとづいて社会的世界を描き出すという研究の方法と意義について、理解を深める機会になればと思っています。こういう内容のセミナーですから、「練習問題」のような宿題は用意していません。ただ、以下の戸江(2018b)や戸江(2023)に目を通してもらっていたら、当日の理解を助けるでしょう。

【講師代表業績】
戸江哲理,2018a,『和みを紡ぐ――子育てひろばの会話分析』勁草書房.
戸江哲理,2018b,「会話分析とフィールドワーク――やりとりのしくみの解明と社会的世界の解明」平本毅・横森大輔・増田将伸・戸江哲理・城綾実編『会話分析の広がり』ひつじ書房,127-62.
戸江哲理,2023,「会話分析でやりとりからフィールドを描き出す」松木洋人・中西泰子・本多真隆編『基礎からわかる社会学研究法――具体例で学ぶ研究の進めかた』ミネルヴァ書房,61-76.

「エスノメソドロジーとインタビュー」
講師:布川由利(和歌山大学)

エスノメソドロジーの研究者はこれまで、社会調査としてのインタビューに限らず、ニュースインタビューや公聴会、企業の採用面接といった様々な場面における「人に話を聞く」という活動を研究のトピックとして取り上げてきました。こうした研究では、インタビューの場で参加者たちが質問や回答のやり取りによっていかなる活動を行っているか、に焦点を当て、分析を行なっています。本セミナーでは、これまでのインタビューをトピックとしたエスノメソドロジー研究を概観し、それらがいかにして、インタビューという活動を分析してきたかを考え、分析する際の基本的な視点について学びます。その上で、学んだ分析の視点をもとにインタビューデータの分析を実際に行なってみます(セミナーで使用するデータについてはトランスクリプトを事前に配布します)。参加者には、社会科学分野におけるインタビュー調査・データ分析の技法についての知識、あるいはエスノメソドロジーについての基礎知識の有無は問いません。インタビューをトピックとするエスノメソドロジーの研究成果をこれから読んでいきたい方、ご自身で研究を行なっていきたいと考えている方にとって、その入り口となる機会を提供できればと思います。

【講師代表業績】
布川由利,2019,「『冷却』を問い直す――Erving
Goffmanの視点から」『教育社会学研究』105:49-70.
布川由利,2023,「キャリアの語りをいかに分析するか――キャリア選択の要因の分類と責任の帰属」『社会学評論』74(1):67-85.