概要
以下の要領で、エスノメソドロジー・会話分析研究会秋の大会を 2012年11月2日
(金)に北星学園大学(北海道札幌市)において行います。
※追記(2012年10月19日):報告にキャンセルが出たため、第1部自由報告は13時35分からの開始となりました。
(担当世話人:浦野 茂、川島理恵、串田秀也)
日程 | 2012年11月2日(金)13:00~18:00 | ||||||
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場所 |
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大会参加費 | 大会参加費:無料(会員・非会員とも) | ||||||
交通 |
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懇親会 | 大会終了後に、19時ころより札幌市内にて懇親会を予定しております。当日、大会会場にて詳細をご連絡いたします。またそのさいにみなさまの出欠を確認させていただきます。ご参加をお待ちしております。 |
プログラム
12:00~13:00 | 世話人会 | ||||||||||||
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12:30 | 大会受付開始 | ||||||||||||
13:00 | 開会 | ||||||||||||
13:00~14:10 | 第1部 自由報告(報告各20分、質疑応答各15分)
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14:10~14:30 | 休憩 | ||||||||||||
14:30~15:00 | 総会 | ||||||||||||
15:00~18:00 | 第2部 シンポジウム「知識現象のエスノメソドロジーの対象と課題:マイケル・リンチの研究を中心に」[→概要]
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閉会 | |||||||||||||
19:00~ | 懇親会(時間と場所の詳細は未定) |
自由報告報告概要
福田千恵(埼玉大学)「相互行為としてのリサーチインタビュー:M/CAによるインタビューの分析」
概要
本研究ではリサーチインタビューを成員カテゴリー分析と会話分析(M/CA)の観点から論じる。リサーチインタビューは社会科学の重要な分析ツールであるが、それと同時にインタビューする者とされる者が作り出す、社会的相互行為でもある。また、局所的な文脈やミクロレベルのインターアクション、マクロレベルの社会的・文化的背景にも大きく影響されうる。欧米ではインタビューを単に研究対象者から答えを引き出す手段としてではなく、社会的相互行為としてM/CAを用いて分析する動きが見られる(Holstein and Gubrium 2004, Talmy 2011)。このアプローチでは、分析ツールとしてのインタビューと異なり、「何」を言ったかだけでなく、「どう」言ったかが重要な分析の対象となる。本研究では研究者とその知人である日系人留学生とのリサーチインタビューをデータとして用いる。リサーチのテーマは日本人論についてであったが、そこから彼の日本での経験を語るナレティブに発展していく。このデータの分析を通して、インタビューそのものが社会的相互行為であり、連鎖組織やレシピエント・デザイン、成員カテゴリーなどがインタビューにおいても有効な分析手段であることを提示する。
福島三穂子(埼玉大学)「日本語会話における、social relationality の一つであるジェンダーの表れ方:ユーモアに焦点を当てて」
概要
会話分析という手法を使って、日本の社会における男女間における社会相互行為を、特にネゴシエーションが発生している場面で検証していく。文化、言葉、社会的な関係性(social relationality)が絡み合う日本語での日常会話でのコミュニケーションは、一般的に日本人論的なアプローチによって理解されることが多い。そこで、日本人らしいと言われるキーワード、例えば、和(を大切にする)、や甘え、上下関係、などを会話の中で話者がどのように、その場その場で作り出していくのか、そして聞き手に理解させているのか、を見ていきたい。その中で、ユーモアの使われ方にも焦点を当て、ユーモアがどのように会話構造、特に優先構造に関わっていくのかを検証し、ジェンダーが見えてくる現場を取り上げる。
シンポジウム「知識現象のエスノメソドロジーの対象と課題:マイケル・リンチの研究を中心に」概要
エスノメソドロジー研究と科学の社会的研究における主導者の一人であるマイケル・リンチの主著 Scientific Practice and Ordinary Action が、このたび邦訳・刊行されることになりました(『エスノメソドロジーと科学実践の社会学』)。周知のように、リンチは、科学実践や歴史記述の実践などについての詳細なエスノメソドロジー研究を行い続けているとともに、知識社会学・科学社会学、エスノメソドロジー・会話分析のこれまでのあり方に対しても今なお批判的論点を指摘し続けています。そしてこのたび邦訳刊行される著作には、こうしたリンチの考え方が凝縮された形でまとめられています。そこでこのシンポジウムは、このリンチの著作を中心に据えながら、彼の経験的研究の概要とその焦点について検討するとともに、彼が既存の研究に対して示してきた批判的論点をも取りあげて検討していきたいと考えています。このような検討を通して、知識現象のエスノメソドロジーのあり方とその意義について、さらには知識現象を社会学的に研究することとはどのようなことなのかについて、会場のみなさんとともに議論できればと考えています。
中村和生(青森大学)「ポスト分析的エスノメソドロジーの可能性」
概要
マイケル・リンチが Scientific Practice and Ordinary Action(『エスノメソドロジーと科学実践の社会学』)においてポスト分析的エスノメソドロジーを提唱してから20年が経とうとしている。本報告では、この著に基づき、このプログラムの方針を指し示し、その具体的展開をいくらかの経験的研究において確認することによって、このプログラムの見通しを少なからず得ることを目指したい
ポスト分析的エスノメソドロジーは、一方で科学社会学の実践学的転回に刺激を受けつつ、他方でプロトエスノメソドロジーや分析的エスノメソドロジーを発展させたものと位置づけられている。まずは、この著、とくに4章や6章に基づき、これらのエスノメソドロジーを、その特質と代表的な経験的研究の検討から考えていきたい。つづいて、とくに7章に基づき、ポスト分析的エスノメソドロジーの方向性を確認する。そして、日本語版序文においてその例として挙げられている経験的研究のいくつかを取り上げることによって、このプログラムの内実に迫っていきたい。
池谷のぞみ(慶應義塾大学)「エスノメソドロジーの展開におけるシュッツの知識概念をめぐって」
概要
エスノメソドロジーのプログラムの展開は、必ずしも一つではなく、いくつかの少しずつ異なる仕方でなされてきている。それぞれの展開がどのような経緯をたどっているのかについては、すべてが明解になっているわけではない。例えばシャロックが昨年のIIEMCAの追悼セッションで披露したように、ガーフィンケルがどのようにしてシュッツを創造的に読み込むことで、博士論文での議論から展開して、状況において達成される秩序に焦点を当てるまでに至ったのか、その経緯は明らかにはなっていない。したがって、残されたエスノメソドロジストにできることは、ガーフィンケルが影響を受けた著者たちや、彼自身の書いたものを手掛かりにして、彼が何を他の文献に読み込み、研究プログラムを展開させていくに至ったのかを読み解く以外にはない
リンチはそれを試み、展開に寄与する一人である。彼は、これまでのエスノメソドロジーの展開を整理し、それとは区別しながら、状況における実践においてエピストピックがどのように現れるのかに焦点を当てるという新たな方向を提示した。その際、リンチは、科学知識をめぐるシュッツによる記述を乗り越えることこそが、その新たな方向をとる契機になると位置づける。しかし、そもそもシュッツの知識概念をガーフィンケルの創造的な解釈とともに辿るとき、エスノメソドロジーの展開において、必ずしもシュッツの知識概念を退ける必要はないという点を論じ、なおかつ科学を含むさまざまな領域における活動を日常における活動として理解し、活動する方向性を再考する。
西阪仰(明治学院大学)
「指示に従った知覚――強調プラクティスと方法的手続き」
概要
現在の代表的エスノメソドロジストであるマイケル・リンチは、エスノメソドロジーに出自をもつ会話分析(CA)の方法に対して、いくつか批判的な論点を提出している。この報告では、そのなかから、次の2点について考えてみたい。
- 記述の言語の身分について。
- 手続きの一般的もしくは形式的記述の可能性について。
1については、サックスが「装置」(apparatus, device, machineryなど)と呼んだ記述の(もしくは解明するべき)対象は、日常概念とどのように関係しているか(日常概念の修復か)、ということとかかわっている。2については、このサックスの「装置」の記述は、(ガーフィンケルの言う)秩序の「局所的に産出された」、「リフレクシブに説明可能な」、「同時進行の実際的な」達成の記述たりえないかどうか、ということとかかわっている。ただし、本報告では、これらの点について抽象的な思考をめぐらすのではなく、具体的な1つのプラクティス、すなわち、リンチが実際の科学のプラクティスの1つとして定式化した「強調」プラクティスを取り上げ、そのCAな記述がどのように、局所的に産出され、リフレクシブに説明可能な、同時進行の実際的な達成の記述でありうるかを、実演的に示すことを試みたい。
お問い合わせ
- この案内に関する問い合わせ先: 串田秀也
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