2017年度第2回エスノメソドロジー・会話分析「入門」セミナー

エスノメソドロジー分析入門セミナーについて

今年度二回目のエスノメソドロジー・会話分析「入門」セミナーを下記の通り3月17日(土)、3月18日(日)に実施しますので、エスノメソドロジー・会話分析の学習に興味をもたれている方は是非ご参加ください。3月17日(土)が会話分析、3月18日(日)がエスノメソドロジーの内容になります。

参加希望者は以下リンク先のフォームより申込をお願いします。各コマにつき別個の受付になりますので、受講されるコマを選んで申し込まれてください。先着順ですので、お早めの申込を推奨します。

概要

開催日

2018年3月17日(土)
10:00-12:00 会話分析の基本的な考え方」 講師:城 綾実(滋賀大学)
[申込]
13:00-15:00 13:00-15:00 「トランスクリプトの作り方」 講師:坂井田瑠衣(国立情報学研究所)
[申込]
15:30-17:30 「行為連鎖の組織」 講師:居關友里子(国立国語研究所)
[申込]
2018年3月18日(日)
10:00-12:00 「エスノメソドロジーの視点」 講師:河村賢(成城大学)、三部光太郎 (千葉大学大学院人文社会科学研究科公共研究専攻)
[申込]
13:00-15:00 「フィールドワークから得られたデータの分析」 講師:松永伸太朗(一橋大学大学院・労働政策研究・研修機構アシスタントフェロー)
[申込]
15:30-17:30 15:30-17:30 「メディアコンテンツの分析」 講師:大石真澄(総合研究大学院大学 文化科学研究科 国際日本研究専攻)
[申込]

会場

  • 立教大学池袋キャンパス13号館会議室
    (〒171-8501 東京都豊島区西池袋3-34-1)

定員

  • 20名(セミナーごと)

参加費

  • EMCA研会員1000円、非会員2000円(セミナーごと)
    • ご参加を希望されるセミナーごとに上記リンク先からお申込下さい。セミナーと講師の詳細は下記のとおりです。
    • セミナーに関するお問い合わせは までお願いいたします。

セミナー詳細

「会話分析の基本的な考え方」

  • 講師:城 綾実(滋賀大学)

2016年冬に『会話分析の基礎』(ひつじ書房),2017年夏に『会話分析入門』(勁草書房)と,日本語で書かれた会話分析の教科書が立て続けに出版されました.会話分析が学べる資料および環境は少しずつ増え,整えられている途上ですが,独学での習得が困難な分野であるため,実践的な分析技術を身に着けるのは容易ではありません.本セミナーでは,「会話分析をやってみたいけどどうやったらいいのだろう」と思う人々を対象に,次の2点を実習形式で学びます.

  1. どのような姿勢でデータをみたらよいか
  2. 具体的にどうやって分析を進めたらよいか

1と2は分ち難い関係にあり,また文献から学ぶことが困難なものです.この2点の感覚を掴めるよう,会話分析の創始者たちが残したキーワードやキーフレーズを紹介しながら実習を進めることで,相互行為の組織化の様相や巧妙さに迫りたいと思う人々の手助けをしたいと考えています.

「トランスクリプトの作り方」

  • 講師:坂井田瑠衣(国立情報学研究所)

会話分析では、音声や映像に収録した会話データを繰り返し観察し、参与者の発話や身体的ふるまいを細かく書き起こすことが重要視されます。音声を書き起こす際には、発話の内容だけでなく、発話の強弱や途切れ、重なりや沈黙などを精確に記述します。身体的ふるまいを書き起こす際には、ふるまいの開始や終了のタイミング、発話のどの位置でふるまいが生じているかなどを、参与者の志向に則して記述します。このように細かく複雑なトランスクリプトを作成することで、どのような分析が可能になるのでしょうか。本セミナーでは、なかでも

  1. 発言順番の交替
  2. 身体的資源の利用

という2つの観点から、会話分析においてトランスクリプトを作成することの重要性について考えます。また、実際に会話データを書き起こす練習を通して、会話分析におけるトランスクリプトの作り方を実践的に学びます。受講者の方には、当日ご自身でノートPCとイヤホンをご持参いただきたいと思います。

「行為連鎖の組織」

  • 講師:居友里子(国立国語研究所)

本セミナーでは,会話分析の中心的トピックのひとつである「行為連鎖の組織」について取り上げます。私たちは発言順番を通じて「質問」や「返答」などといった行為を産出し,これら産出された行為が連なり合うことによって会話は進行していきます。

この「行為が連なる」とはどういうことなのか,それはどのように組み立てられ,そのことにより何が達成されているのか,会話データの具体的なやり取りを見ながら確認していきます。行為連鎖という視点によって会話の何が見えてくるのか,実際に分析を試してみることを通して学んでいきます。

「エスノメソドロジーの視点」

  • 講師:河村賢(成城大学)
  • 三部光太郎 (千葉大学大学院人文社会科学研究科公共研究専攻)

エスノメソドロジー(EM)の名を冠した論文を実際に読み進める初学者にとって、そこで扱われるデータや調査手法の多様性は困惑の種となるかもしれません。というのは、EMにおいてビデオ・会話データ・テクストといった様々なデータが分析の俎上に挙げられ、またフィールドワーク、インタビュー、アーカイブ調査といった多様な調査手法が用いられているのを読む読者が、そうした多種多様な分析を貫く関心や視座といったものが果たしてあるのかという疑念にかられるということは、非常にありそうなことだからです。

本セミナーにおいては、このように多岐にわたるデータと調査手法を用いつつ「人々が用いている方法を特定することでその人々が行っている行為に記述を与える」ことこそが、エスノメソドロジーの一貫した問題関心であることを論じていきます。その上で、キャリアカウンセリングという具体的な場面における会話データを事例にしながら、まさにその場でなされている行為を記述するという課題にどうすれば上手く取り組むことが出来るのかを示していきます。

「フィールドワークから得られたデータの分析」

  • 講師:松永伸太朗(一橋大学大学院・労働政策研究・研修機構アシスタントフェロー)

本セミナーでは、フィールドワークから得られるデータ、とくにインタビューデータとフィールドノートの分析の仕方について学びます。

研究上の必要からさまざまな「現場」の人々にお話を伺ったり、実際にその場を見て記録をつけたりしても、いざそれを分析するとなったときどうすればいいのか。こうした迷いは真摯に研究を遂行しようとする者であれば誰でも抱きうるものです。インタビューとフィールドノートはそれぞれに分析法が蓄積していますが、エスノメソドロジーの方針を取った場合、両者の分析の仕方はほとんど変わりません。そしてなにより、データが変わっても分析の方針が変わらないということの意味を理解することが、エスノメソドロジーにおける分析を身につける第一歩です。セミナーではこのエスノメソドロジーに通底するデータへの見方、そして実際の分析の仕方を、具体的な事例と実習を交えながらお話したいと思います。

「メディアコンテンツの分析」

  • 講師:大石真澄(総合研究大学院大学 文化科学研究科 国際日本研究専攻)

メディア研究においては、メディアのコンテンツそのものを分析データ(リソース)にすることの困難さが、まず認識されるべきものとして取り扱われてきました(メディアのコンテンツが、社会の実態を反映していることを前提にする単純反映論への批判)。 その困難さに対する認識から、オーディエンス、メディアに接する社会的集団に注目するアプローチが生まれ、現在に至るまで研究が蓄積されてきました。しかしその一方で、 そのコンテンツがいかに理解されて、その結果社会的集団を形成しているかという点は、相互行為を介して観察することが困難なゆえに分析が進んでいないように思えます。

本セミナーでは、上記の点を踏まえて、特に現在身近なテレビコンテンツの分析について、テレビCMを事例にして考えたいと思っています。特に、そのコンテンツがテレビCMであると改めて認識することが必要な事例を参照します。このことで

  1. 理解に必要なやり方の優先順位と
  2. 知識の場所によって生じる理解の資格

という2点を意識することで、分析におけるコンテンツの理解実践の手順を細かく記述することの重要さについて学びたいと考えています

  • エスノメソドロジー/会話分析研究会セミナー企画担当 seminar[at]emca.jp