2005年度 研究大会

概要

今年8月にBostonで開かれたIIEMCA (International Institute for Ethnomethodology and Conversation Analysis)において発表されたお二人をお迎えして、教室と法律相談というそれぞれの場面におけるやりとりの分析を通して、それぞれの制度的特徴をとらえていくことについて考察を提示していただきます。さらに、昨年英国マンチェスターに研究のため滞在された会員のお二方に、現地でのご研究生活についてお話いただきます。

日時 2005年10月24日(月)9:30-15:00
会場 立教大学12号館地下会議室

プログラム

9:30-11:30 制度場面のシークエンス分析
9:30-10:25 タイトル:連鎖分析と「教育」・「人間形成」研究:「失敗するクレイムはどのようになされたか」を手がかりに

  • 南 保輔氏(成城大学)
  • コメンテータ:秋葉 昌樹氏(龍谷大学)

〔概要〕社会学・社会科学の主要関心のひとつとして、教育・社会化・人間発達・人間形成がある。「いまここ」にこだわるEMCA研究と、空間的にも時間的にも幅広い帰結・効果を問題とする「教育」とはどのような関係にあるのだろうか。小学校の終わりの会の連鎖分析を提示するとともに、この点を考えていく方向性を検討してみたい。

10:35-11:25 「法律相談の開始シークエンス」

  • 樫村 志郎氏(神戸大学)
  • コメンテータ:岡田 光弘氏(国際基督教大学)

概要:本報告では、弁護士会が運営する2つの法律相談センターにおける、法律相談の会話の開始シークエンスを分析する。データは、2つのセンターで行われた法律相談の録音11件である。相談は、相談者が法律問題を助言者に語る前半部分と、助言者が助言を相談者に語る後半部分に、おおまかに分けることができる。これらの相談の会話構造は、それぞれの相談部分の開始部門(およびそれに先行する会話部門)において、会話者により構築される相互に了解された発話順番構造により、現実化されなければならないはずである。本報告で注目するのは、相談の開始が、

  1. 相談者が問題の語りを自発的に始める
  2. 助言者が一般的に問題の語りを始めるよう促す
  3. 助言者が問題のカテゴリーを示して問題の語りを初めるよう促す、

という3つのパターンをもつことである。これらの発話交換とその達成が、法律相談という制度的課題の相互行為的達成にどのように結びつけられているかを分析する。また、本件データは、1994年に人口70万人ほどの地方中都市(弁護士数150以上)で収集されたものと、2000年ごろに人口4万人ほどの小都市(弁護士数2)で収集されたものとからなる。制度的、時代的背景の違いと会話構造の関連について、若干の推測も行う。

11:30-12:30 新旧世話人会
12:30-13:00 総会
13:30-15:00 欧州帰朝報告
13:30-14:15 「ゴフマンとシェットランド諸島」

  • 水川 喜文氏(北星学園大学)

〔概要〕イギリス海外研修中、ゴフマンの博士論文で知られるシェットランド諸島に訪問する機会があった。ゴフマンがフィールドワークを行ったホテル(現在のBaltasound Hotel)、長期滞在したコテージ、ホテルの元メイドなどを中心にシェットランド諸島の写真を紹介する。このほか、ヨーロッパの関連学会・研究会について参加した感想も添えながら紹介したい。

14:15-15:00 体験的「エスノメソドロジーへの招待」 是永 論氏(立教大学)

〔概要〕渡英中、著者であるデイブ・フランシス氏自身から『エスノメソドロジーへの招待』を紹介されたこともあり、今回は自らがEMにどのように「入って」いったかという来歴もふまえつつ、EMへの導入教育のあり方について考えているところを、自らの研究との関わりも含めて述べてみたい。

担当世話人:

  • 椎野信雄(文教大学)
  • 池谷のぞみ(Palo Alto Research Center)