会話分析入門セミナーについて
告知開始:2015年01月21日|開催報告掲載:2015年03月02日
会話分析は現在、社会学、言語学、認知科学等の多様な分野で活用されている研究方法ですが、残念ながら日本では、体系的にその思考法や分析技術を学べる研究機関はほとんどありません。そのためエスノメソドロジー・会話分析研究会では、会話分析に関心があり、学んでみたいと思っている大学院生・研究者の方向けに昨年度から入門セミナーを開催しています。関心ある方のお申込をお待ちしております。
研究会会員には参加費の割引もございますので、これを機会にぜひ入会もご検討ください。(→入会のご案内)
※開催報告を掲載しました。
日時
02月14日(土)
9:30-11:30 | 「ビデオデータの撮り方」(セミナー番号14ca07) |
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13:00-15:00 | 「書き起こしの仕方」(セミナー番号14ca08) |
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15:15-17:15 | 「会話分析の基本的な考え方」(セミナー番号14ca09) |
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※開催場所:国立情報学研究所学術総合センター2005講義室 [地図] |
02月15日(日)
09:30-11:30 | 「順番交替組織」(セミナー番号14ca10) |
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13:00-15:00 | 「行為連鎖組織」(セミナー番号14ca11) |
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15:15-17:15 | 「相互行為における非言語的資源」(セミナー番号14ca12) |
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※開催場所:国立情報学研究所学術総合センター2005講義室 [地図] |
各セミナーの講師と内容紹介
ビデオデータの撮り方(セミナー番号14ca07)
- 講師
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- 秋谷直矩(京都大学物質-細胞統合システム拠点科学コミュニケーショングループ特定研究員
- 代表業績
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- 南出和余・秋谷直矩(2013)『フィールドワークと映像実践:研究のためのビデオ撮影入門』ハーベスト社
- 秋谷直矩・佐藤貴宣・吉村雅樹 (2014) 「社会的行為としての歩行:歩行訓練における環境構造化実践のエスノメソドロジー研究」『認知科学』,Vol.21(2), pp.207-225.
セミナー内容
撮影機器を比較的簡単に入手・使用することが可能になり、個人でも人々の活動を撮影し記録に残すことができるようになりました。これは、人々の日常的なやり取りに関心を向ける研究者にとって、非常に重要なことでした。それはつまり、撮影機器を研究に導入することによって、
- 人々の活動を会話やジェスチャー・視線・身体配置およびそれらと使用する道具や周辺環境とのかかわりについて、実際の手続きを見ることができるようになったこと、それを
- 「繰り返し」見ることを可能にしたということ、そして
- 多人数でひとつのデータを検討することを可能にした
ということです。実際、エスノメソドロジー・会話分析研究を行う多くの研究者はビデオカメラを使用するようになりました。本セミナーでは、以上のような展開の背景を学習したうえで、実際に一人でビデオカメラを用いながら実践的に学習していきます。ビデオ撮影がうまくいくかどうかで、その後のトランスクリプト作りやデータコレクションの作成、ひいては分析の出来不出来は大きく変わってきます。調査・研究をスムーズに進めるための「失敗しない撮影法」を学んでいける場にしたいと思います。
書き起こしの仕方(セミナー番号14ca08)
- 講師
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- 安井永子(名古屋大学文学部/文学研究科講師)
- 代表業績
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- Yasui, E. (2013) Collaborative idea construction: The repetition of gestures and talk during brainstorming. Journal of Pragmatics 46(1), 157-172.
- 安井永子 (2014). 「語りの開始に伴う他者への指さし:多人数会話における指さしのマルチモーダル分析」名古屋大学文学部研究論集(文学)59, 85-99.
セミナー内容
会話分析研究を行うにあたって、会話データの書き起こしは、分析対象となる会話の断片を、トランスクリプトとして誰もが目で見れる形にするためだけの作業ではありません。データを繰り返し観て聴くことで、会話の細部にまで注意を払い、分析の鍵となる現象を発見することを可能とする、分析上、必要不可欠な過程です。本セミナーでは、会話分析のデータ書き起こし方法についてこれまで学ぶ機会のなかった方々を対象に、書き起こしの基礎から解説していきます。その上で、実際にデータを繰り返し聴いて書き起こす練習も行いながら、会話において「何が言われたか」だけでなく、「どのように言われたか」をどのようにトランスクリプトに書き起こしていくかを実践的に学ぶことを目的とします。
会話分析の基本的な考え方(セミナー番号14ca09)
- 講師
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- 平本毅(京都大学 経営管理研究部附属経営研究センター特定助教)
- 代表業績
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- 平本毅(2011)「他者を『わかる』 やり方にかんする会話分析的研究」『社会学評論』Vol. 61(2), pp.153-171.
- 平本毅(2014)「組織活動の現場での『志』 : NPOのミーティング場面の会話分析」『フォーラム現代社会学』Vol.13, pp.18-31.
セミナー内容
会話分析を研究に取り入れようとする人は増えていますが、いまだ平易な日本語テキストは出版されておらず、また独学での習得が困難な分野であるため、実践的な分析技術を身に着けるのは容易ではありません。このセミナーでは、
- どのような姿勢でデータをみたらよいか
- 具体的にどうやって分析を進めたらよいか、
の二点を実習形式で学びます。(1)と(2)は分ち難い関係にあり、また文献から学ぶことが困難なものです。この二つの事柄の感覚をつかんでもらうことによって、会話分析の具体的な分析に足を踏み入れようとする人々の手助けをしたいと考えています。
順番交替組織(セミナー番号14ca10)
- 講師
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- 鈴木理恵(成蹊大学国際教育センター常勤講師)
- 代表業績
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- P.バックハウス・鈴木理恵(2010)「起きる時間ー施設介護における承諾獲得」社会言語科学, 13(1), 48-57
- 鈴木理恵(2012) 「テロップと音声情報のずれ─NHKニュース番組でのインタビュー発話の場合」成蹊大学文学部学会編『音と映像 授業・学習・現代社会におけるテクノロジーの在り方とその役割』成蹊大学人文叢書9, 風間書房, 181-221
セミナー内容
本セミナーは、会話分析の基本的な手続きである「順番交代組織」を取り上げます。会話参加者のうち誰がどれぐらい話すかが事前に決まっていない、ごくふつうの日常会話の場面では、いつ誰がどのように話し手になっていくのでしょうか。話し手の順番交代がどのようにおこなわれているのかについての、会話分析的な考え方について、会話データを検証しながら確認していきます。会話者間の実際のやりとりをつぶさに観察することを通して、“スムーズな会話”というものがどのように組み立てられていくのかを丁寧に見ていきます。
行為連鎖組織(セミナー番号14ca11)
- 講師
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- 黒嶋智美(日本学術振興会特別研究員/千葉大学)
- 代表業績
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- 西阪仰、早野薫、須永将史、黒嶋智美、岩田夏穂(2013)『共感の技法―福島県における足湯ボランティアの会話分析』(第8章「経験の固有性」、第10章「段階をへる経験」)、勁草書房
- Kuroshima, S. (2014). The structural organization of ordering and serving sushi, In P. Szatrowski (ed.), Language and Food: Verbal and nonverbal experiences. John Benjamins. 53-76.
セミナー内容
本セミナーでは、会話分析の中心的トピックのひとつである、会話における「行為連鎖組織」について取り上げます。会話の中で、行為が「連なる」とはどういうことなのか、それはどのように組み立てられているのか、それによって何が達成されているのか、会話データを元に丁寧にそのことを確認していきます。行為の連なりに注目することで、実際に会話データを分析し始める際、足がかりとなるような、会話分析における、会話データの「見方」を、演習形式で学んでいきます。
相互行為における非言語的資源(セミナー番号14ca12)
- 講師
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- 城綾実(国立情報学研究所コンテンツ科学研究系特任研究員)
- 代表業績
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- Joh, A. (2013) Management of Intersubjectivity and Progressivitythrough Simultaneous Gestural Matching, In Y. Motomura, A. Butler, andD. Bekki (Eds.), JSAI-isAI 2012, LNAI 7856, pp. 242-256,
Springer-Verlag. - 城綾実・細馬宏通(2014)「語りの進行を回復する実践として共-語り手たちが産出する同期現象」『社会言語科学』Vol.16(2), pp.32-49.
- Joh, A. (2013) Management of Intersubjectivity and Progressivitythrough Simultaneous Gestural Matching, In Y. Motomura, A. Butler, andD. Bekki (Eds.), JSAI-isAI 2012, LNAI 7856, pp. 242-256,
セミナー内容
様々な場面を記録し映像データとして扱うことが容易になるにつれて、身体の動きや配置および道具等の物質的資源を取り扱う相互行為研究が増えてきました。しかし、いわゆる非言語的資源を扱うための方法論はそれほど体系立っていないため、何をどう転記すべきか等、分析を始めたいと考えている人にとってはいくつもの壁があります。本セミナーでは、先行研究から非言語的資源を取り扱う視点を概観し、映像データを用いた非言語的資源の分析、分析箇所のプレゼンテーションの仕方などを実習形式で学びます。研究過程に簡単にでも触れることで、非言語的資源を扱うための足がかりを掴める場にしたいと考えています。
申込と参加方法
- 下記リンク先の申込フォームよりお申込ください。受付は先着順となりますが、普段会話分析を学ぶ機会の少ない方を優先するため、若干の調整をおこなう場合もあります。あらかじめご了承ください。
- 「ビデオデータの撮り方」(セミナー番号14ca07)[申込]
- 「書き起こしの仕方」(セミナー番号14ca08)[申込]
- 「会話分析の基本的な考え方」(セミナー番号14ca09)[申込]
- 「順番交替組織」(セミナー番号14ca10)[申込]
- 「行為連鎖組織」(セミナー番号14ca11)[申込]
- 「相互行為における非言語的資源」(セミナー番号14ca12)[申込]
- ※複数のセミナーへのお申込も可能です。その場合、お手数ですがセミナーごとにそれぞれお申込の手続きをお願いします。
- ※会員と非会員で参加費用が異なります。各セミナーの申込サイトには会員価格しか表示されてない場合がありますのでご注意ください。
- ※現在非会員の方で、会員価格での受講を希望される方は、可能な限り当日までに入会手続きをお済ませください。(→「入会のご案内」)やむをえず当日までの入会が間に合わない場合は、会場での入会も受け付けます。
- 参加費は会場でのお支払いとなります。その場で領収書を発行いたしますので、当日直接会場にお越しください。なお会場および事前の課題等について講師から連絡があった場合は講師の指示に従ってください。
今年度のセミナー予定
- 2015年3月9日 第2回エスノメソドロジー入門セミナー(開催地関西 第1回と同内容)
お問い合わせ
- エスノメソドロジー/会話分析研究会セミナー企画担当