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エスノメソドロジー・会話分析研究会:2016年度の活動


2017年度 秋の研究大会



概要

EMCA研究会2017年度秋の研究大会を、2017年10月8日(日)に、関西学院大学梅田キャンパスで開催いたします。午後からの第2部では、Harold Garfinkelの Studies in Ethnomethodology 刊行50周年を記念する特別セッションを設けました。みなさまのご参加をお待ちしております。

(大会担当世話人:森本郁代・戸江哲理)


プログラム

10:10受付開始
10:30~12:00第1部 自由報告
10:30~11:00金青華(お茶の水女子大学大学院)
「応答発話の開始部分に用いられる一人称代名詞の相互行為上の働き」[→概要
11:00~11:30鈴木佳奈(広島国際大学)
「分析ツールとしての『成員カテゴリー化装置(MCD)』を再検討する」[→概要
11:30~12:00岡田光弘(国際基督教大学)
「エスノメソドロジストは『会話分析・相互行為分析』とどのように関わるのか?」[→概要
12:00~13:00ランチタイム
13:00~13:30総会
13:30~17:00 第2部 Studies in Ethnomethodology 刊行50周年記念企画「エスノメソドロジーのこれまでとこれから」
13:30~13:35趣旨説明
13:35~14:05樫村志郎(神戸大学)
Studies in Ethnomethodology に至る道程――1960-67年を中心にして」[→概要
14:05~14:35山崎敬一(埼玉大学)
「私はいかにしてエスノメソドロジストになったのか――社会学的・哲学的来歴」[→概要
14:35~15:05水川喜文(北星学園大学)
「「IIEMCAとエスノメソドロジー・会話分析の展開」(仮)[→概要
15:05~15:35南保輔(成城大学)
「シクレル・インタヴュー・アイデンティティ――『インタヴューのエスノメソドロジー(的研究)』に向けて」[→概要
15:35~15:50休憩
15:50~17:05総合討論
17:05閉会

第1部報告要旨

(1)「応答発話の開始部分に用いられる一人称代名詞の相互行為上の働き」(金青華・お茶の水女子大学大学院)
 一人称代名詞は非明示するのが一般的であるが、すべての一人称代名詞が現れないわけではない。実際の日本語母語話者の自然会話をみても、述語や談話の場面性により一人称代名詞が推測される状況でも明示される場合がしばしばみられる。本稿で取り上げる一人称代名詞は「質問―応答連鎖」の応答発話の開始部分という特定の位置に現れるもので、応答発話が応答者に関して語られているのが明確なため、明示しなくてもいい位置に現れるものである。しかし、あえて明示されるということは、一人称代名詞が主題としての機能だけでなく、会話を展開する上で何らかの機能を担っていることが推測できる。
 こういう点を踏まえて、本稿では発話の中の様々の位置で現れる一人称代名詞の相互行為上の働きを明らかにする一端として、ひとまず、応答発話の開始部分に用いられる一人称代名詞を取り上げ、日本語母語話者の自然会話データに即して分析を進める。
 その結果、応答発話の開始部分に現れる「私」は、「新規話題を導入」という機能よりは、相手が望んでいる答えがただちに産出できなく、自分のことを語らないと応答にはならないという答え方をプロジェクトするのに使われていることがわかった。そして、質問への理解と質問の要請に応えようとしているという協調的スタンスを示していることがわかった。

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(2)「分析ツールとしての『成員カテゴリー化装置(MCD)』を再検討する」(鈴木佳奈・広島国際大学)
 会話分析の諸概念のうち、「話者交替」や「行為連鎖」などは、相互行為データを分析するためのツールとしての有用性がある程度確立している。それは、ある発話や行為についての分析者の解釈が妥当かどうかが、その発話や行為の受け手自身の反応によって裏付けられうるためである。一方、「成員カテゴリー化装置(MCD)」を用いたデータ分析は、そのような裏付けが難しいことが多く、分析が恣意的になる危険性が指摘されている(cf. 串田・平本・林 2017, 257-8)。現段階で、成員カテゴリー化装置は、分析ツールとしてどの程度利用可能なものなのだろうか。
 本発表では、まず、国内外で近年刊行された5冊の会話分析関連の入門書・概説書・研究書(Fitzgerald and Housley 2015; Clift 2016; 高木・細田・森田 2016; 高梨 2016; 串田・平本・林 2017)で、「成員カテゴリー」や「成員カテゴリー化装置」といった概念がどのように紹介されているか、またそれらの概念がどのようにデータ分析に使用されているのかを比較する。さらに、父親が子どもに絵本の読み聞かせを行っているデータ断片を例にして、どうすれば「成員カテゴリー化装置の概念を用いたデータ分析の根拠を、参与者の指向に基づいて」(串田・平本・林 2017, 257)示すことができるかという問題を検討する。特に、参与者のさまざまな「属性」、例えば「質問者と応答者」といった行為連鎖レベルの属性、「読み聞かせをする者と聞く者」、「教える者と教えられる者」、「指示する者と指示される者」などの活動レベルでの属性、「父親」「母親」「子ども」というより一般的な属性、さらには「研究者と研究協力者」という暗黙の属性、を「成員カテゴリー」として重層的に分析に適用しうるか、フロアと議論したい。
引用文献
串田秀也・平本毅・林誠.2017.『会話分析入門』.勁草書房.
高木智世・細田由利・森田笑.2016.『会話分析の基礎』.ひつじ書房.
高梨克也.2016.『基礎から分かる会話コミュニケーションの分析法』.ナカニシヤ出版.
Clift, R. 2016. Conversation Analysis. Cambridge University Press.
Fitzgerald, R., and Housley, W. (Eds.) 2015. Advances in Membership Categorisation Analysis. Sage Publishing

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(3)「エスノメソドロジストは『会話分析・相互行為分析』とどのように関わるのか?」(岡田光弘・国際基督教大学)
 目的と方法 H.Garfinkelを学祖とするエスノメソドロジストが、H.Sacksが切り開きE.Schegloffが開花させた「会話分析」ないしは「相互行為分析」という研究手法とどのように関わってきたのかについて、会話分析(特に、Epistemics)に言及して書かれた論文から学史的、理論的に検討する。
 結論 前回の研究会で、Epistemicsを巡る論争が紹介された。会話分析(CA)内の重要な論争であることが理解できた。しかし、登場人物から考えると、その、いわば「コップの中の嵐」の外側に、Garfinkelに依拠した別の「コップ」の存在が見て取れる。またこの論争では、既存の社会学との距離を「最大化」することをよしとする前提が共有されていたように思われる。
 学史的には、「フォーマル・ストラクチャー」論文を巡って、Garfinkelを継承した、あるいはGarfinkelとSacks(G&S)を継承したEMCAとは、どのような研究なのかという論点がある。ちなみに、M. Lynchは、同論文を両者の共同作業とする。このG&Sを継承するCAと、Sacks(とSchegloff)に由来するCAとを区別している。また、これとは別に、彼は、1968年までのUCLA講義での、一事例を解明するCAとそれ以降のコーパスを経由するCAとを区別する。
 さらに、これと別の「マンチェスター・ランカスター派」によるCAの位置づけは、Garfinkelの業績を換骨奪胎し、CAをEMCAの中に位置づけつつ、EMCAと社会学との距離を「最小化」する路線であるように思われる。

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第2部報告要旨

(1)「Studies in Ethnomethodology に至る道程――1960-67年を中心にして」(樫村志郎・神戸大学)
 本報告では、Studies in Ethnomethodology(Garfinkel 1967)(以下、Studies と略称する。)の出版に至るまでの間にエスノメソドロジーがどのような研究として理解され実践されてきたのかを、素描する。  今日の研究事情における一般的理解では、エスノメソドロジーはStudies において、宣言された研究プログラムである。たしかに、そのプログラムの研究すべき課題と研究方針が、たとえばインデクシカリティ等のような独特の用語やそれを用いた標語に集約された形でそこでは宣言された(とりわけ、Preface, Chapter 1)。この事情から専門的にせよ非専門的にせよエスノメソドロジーはその用語の理解と解釈を中心として再理解・再解釈される傾向がある。しかし、こうした理解は、エスノメソドロジー成立に関係していたいくつかの事情を見逃す傾向をもっている。
 Studies 自体がエスノメソドロジー活動の実践的説明たるアカウントであり、それは、どんな問題へのどのような探求を通じてエスノメソドロジーの課題、対象、方針が把握されつつ達成されたのかにかかわるいくつかの事情を必然的に省略するか背景化している。そこで、そのいくつかの事情をあきらかにすることは、エスノメソドロジーをその産出の道程において理解するということの今日的価値を検証するための方法だといえる(なお、1970年代までのGarfinkelの研究はウェブページ Formative Steps of Ethnomethodology で時系列的に整理してある)。
 Garfinkelと共同研究者が1960年代に従事してきた研究プロジェクトには、
  • (1)1962年にGarfinkelがUCLAで開始したエスノメソドロジーセミナー、
  • (2)1963年にコロラド大学で Garfinkel, Sacks, Bittner, Rose が行った「適切なアカウント」または「社会の理解/産出」に関する研究会、
  • (3)1967年にASAで GarfinkelとSacks が共同報告した「会話の場面について」
が含まれる。
著者は2016年にUCLA研究図書館の調査によってこれらに関する資料を入手した。本報告では、それに基づいて、部分的ではあるが、エスノメソドロジーという研究プログラムがいかにして成立してきたのかに光をあてたい。

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(2)「私はいかにしてエスノメソドロジストになったのか――社会学的・哲学的来歴」(山崎敬一・埼玉大学)
 修士論文で二つの研究を行った。一つは『常識的カテゴリーと科学的カテゴリー』として後に出版した研究で科学論・科学哲学の問題からエスノメソドロジーへの発展を扱ったものである。もう一つは現象学的社会学、特にA. シュッツの反省的意味論の批判的検討である。この研究の中で我々が一緒に会話をしているという反省以前的な経験に着目し、会話分析の研究に着手することになった。
 エスノメソドロジーとの出会いは、学部時代に遡る。大学に入学したときは哲学に関心を持っていたが、やがて哲学的探求よりも日常的に私たちが当たり前に考えていることの重要性に気づき、社会学に関心を持つようになった。しかし日本で当時出版されていた教科書や著作はすべて構造機能主義に基づいており、私の関心に見合うものではなかった。高田馬場にビブロスという書店があり、ペンギン文庫や言語学を中心に洋書を扱っていた。そこでバーガーの Invitation to Sociology を買って読み、社会学の魅力を知った。さらにバーガー・バーガーの Sociology: A Biographical Approach を読み、社会学の勉強をした。翻訳にはついていないが、英語版ではエスノメソドロジーの文献紹介があり、そこでエスノメソドロジーの存在を知った。また、ペンギンの Introducing Sociology (Second Edition)の中のシャロックの The Problem of Order の章を読み、エスノメソドロジーの重要性を認識した。さらにロイ・ターナーのペンギン版の Ethnomethodology を読み、ガーフィンケルやサックスの研究を始めたのである。ガーフィンケルやサックスの研究の重要性については口頭で報告する。

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(3)「IIEMCAとエスノメソドロジー・会話分析の展開(仮)」(水川喜文・北星学園大学)
 To be announced
(4)「シクレル・インタヴュー・アイデンティティ――『インタヴューのエスノメソドロジー(的研究)』に向けて」(南保輔・成城大学)
 マイケル・リンチによって,ハロルド・ガーフィンケルとともに「プロトエスノメソドロジー」の担い手とされたアアロン・シクレルは,UCLAでガーフィンケルのRA(調査助手)として『Studies』のいくつかの実験的調査を遂行した。1970年代以降は「認知社会学」をキイワードとして認知科学の領域で活躍した。本報告前半では,1986年からUCSDでシクレルの指導を受けてPh.D.研究を行った南の経験をもとに,シクレルの教えを整理する。それを踏まえて後半では,インタヴュー法に基づくアイデンティティ研究にEMCAを活用する試みの端緒を紹介する。『インタヴューのエスノメソドロジー(的研究)』をまとめる企図の第一歩としたい。

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  • この案内に関する問い合わせ先: 森本郁代
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