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エスノメソドロジー・会話分析研究会: 2009年度秋の研究大会・短信

2009年度 秋の研究大会が、2009年10月25日に東海大学高輪校舎にて開催されました。当日は50余名の参加者を迎え、盛況のうちに閉会しました。参加者から、当日の報告について振りかえっていただきました。
(EMCA研究会ニューズレターから抜粋掲載しています。詳しい内容については会員用のニュースレターでご覧ください。(編集 是永))

内容の詳細は→活動の記録(2009年度)をご覧ください。

短信






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午前;自由報告部会から

小宮 友根さん

 今回は「被害者の意志を『正しく』認識すること」という題で報告をさせていただきました。強姦事件の裁判の中ではしばしば、被害者が過去に何をしてきたのか、当日の事件までに何をしていたのかといったことと、被害者に与えられるパーソナリティ・カテゴリーは、互いのその理解可能性を支え合い、問題となる行為を理解するための前提を供給します。そして、その実践論理的含意の強力さは、一方で「正当な」判決を産出するための資源ともなり、他方で「問題のある」判決を産出するための資源ともなる。私の報告の主題は、そうしたある種の構造的問題を指摘することでした。考察や論証が十分でなかった点をご指摘くださった方々に、改めて御礼申し上げます…

西阪 仰さん

 今回は、「妊婦による問題提示の他者開始」、すなわち「医療専門家の問いかけにより開始される問題提示」について若干のアイデアを語らせていただいた。このような機会は、まず、自分の考えを形にするという意味で非常にありがたかった。そして、なによりも、経験豊かなオーディエンスから非常に有益な疑義を出していただけた。そして、それに答えるなかで、自分の考えをさらにまとめることができ、たいへんありがたかった…

鈴木 理恵さん

 今回は、日本語の自然発生的な日常会話において、特に会話者が自己或いは他者を評価する際に、会話の連鎖構造が会話者間(時にその評価対象人物との関係をも含む)の人間力学といかに密接に関連しているかを例証しました。観察した抜粋例は、発話者の自己卑下的スタンスが発話者自身とある特定の聞き手との比較の上に成立しているケースです。発話者が自己卑下発話を通して、自身の評価上のステータスを特定の聞き手のそれよりも低く位置付けるのに対して、聞き手がその返答発話を通して、評価対象項目に関して発話者を聞き手と同等あるいはそれ以上に評価している現象について考察を加えました。
 発表に対しては様々な御質問や御指摘が寄せられました。特に、「「自己卑下発話連鎖」がどこから始まっているのか(元々の自己卑下発話者を誰と設定すべきか)」「発話連鎖と発話連鎖が発生した状況的背景との関連性をどう扱うか」という問題については、その重要性を再認識させていただきました。貴重な御意見を下さった皆様に御礼申し上げます…

午後;シンポジウムから

中村 和生さん(明治学院大学)

 「概念分析的手法による新たな科学現象の研究へ」というタイトルで発表させて頂きました。発表の目的は、『概念分析の社会学』における着眼点である「人工類 (human kinds) のループ効果」(ハッキング)が、これまでのワークの研究における手法や関心とどの程度まで親和的であると言えるのかを探り、意見を頂くことにありました。
 発表内容に対しては、討論時間の内外において様々な意見を頂きました。最も大きな疑問は、ループ効果の検討は相互行為の分析たりうるのか、また、ガーフィンケル以来エスノメソドロジーが探究してきた organizational lived work を扱っていると言えるのかというものでした…

川床 靖子さん(大東文化大学)

 「インスクリプションのデザインに埋め込まれたワークのポリティクス」という題目で発表を行った。2000年4月から始まった介護保険制度をとりあげ、この制度の核をなす「要介護認定」のデザイン、作成、運用に携わる人々のワークをインスクリプションの生産・使用・再生産のあり方を通して分析した。今回の発表および質疑を通して、介護保険制度をめぐるワークのデザインの特徴は表象のコントロールと分散にあることが浮き彫りにされた…

池谷 のぞみさん(Palo Alto Research Center)

 ワークの研究といったとき、二つの意味があります。ワークという言葉を狭義にとれば、仕事となり、職場やその他さまざまの制度的場面における行為を対象とした研究となります。他方ワークを広義にとれば、「あらゆる行為の達成」を意味し、日常会話、カンフー、女性として振る舞う、裁判員として裁判員に参加するなど、一気にさまざまなものが対象となります。そういう意味では、エスノメソドロジー研究はすべて何らかのワークを対象とした研究ということもできます。他方で、「ワークとワークプレイス研究」といった領域名もあり、エスノメソドロジー研究者が多く関わっていることもあり、狭義の意味の「ワーク」もなじみ深いといえます。今回のシンポジウムの企画にあたっては、科学研究や、介護保険の制度づくりやその運用といった点で報告をしていただき、あえて言えば狭義の意味の「ワーク」に焦点を当てました。私は最終的にはシステムデザインやワークのデザインという点とワーク研究とのつながりについてお話しました…

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