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高木智世・細田由利・森田笑 著『子育ての会話分析』 もっと学びたいひとのための文献情報 > 研究会会員の著作紹介

高木智世・細田由利・森田笑 著
会話分析の基礎

目次と書誌

A5判・376ページ
発行:2016年12月
定価:本体3,500円+税
発売日: 2016/12/20
ISBN-10: 4894768267
ISBN-13: 978-4894768260
出版社:ひつじ書房 |
近年、会話分析の研究方法は、言語学や言語教育学の分野でも注目され始めている。本書は、そうした状況を踏まえ、「会話」を相互行為として分析するというのはいかなることかという問いをはじめとして、会話分析が目指すものをわかりやすく解説し、豊富な事例と各章末の課題を通して会話分析の基礎を学べるようにした入門書である。
■目次:

はしがき
第1章 「会話」の研究
1. 日常会話の重要性
2. 会話分析の起源
3. 会話分析の誕生
4. 会話参加者の視点
5. 会話分析における「発話」の概念
第2章 会話分析の視点と研究プロセス
1. 会話分析の視点
1.1. Schiffrin(1994)の分析
1.2. 会話分析的な視点による再分析
1.3. 会話分析が対象とする「現象」とは何か?
2. 会話分析研究のプロセス
2.1. データの収集
2.2. データの転写
2.3. データ分析のステップ
2.4. データ収集と使用に関する倫理問題
2.5. 会話分析研究の信頼性、妥当性、客観性
3. おわりに
第3章 順番交替の組織
1. 順番交替システムという社会秩序
2. 会話の諸特徴
3. Sacks, Schegloff and Jefferson (1974)のモデル
3.1. 順番の組み立てに関わる部分
3.2. 順番の割り当てに関わる構成部分
3.3. 順番交替システムの規則群
4. 発話の重なり・間合い・あいづち
4.1. 発話の重なり
4.2. 間合い
5. 日本語会話の分析における問題点
6. おわりに
第4章 連鎖の組織と優先組織
1. 連鎖の組織
1.1. 行為の連鎖を生み出す順番交替
1.2. 隣接ペア
1.3. 行為連鎖の拡張
1.4. 先行拡張
1.5. 挿入拡張
1.6. 後続拡張
1.7. 行為連鎖を生み出す原理
2. 優先組織
2.1. 隣接ペアの第2部分における優先性
2.2. 参加者の協働作業としての優先的反応の産出
2.3. 複数の優先性が交差する場合
2.4. タイプ一致型反応
2.5. 第1部分の優先性
3. おわりに
第5章 修復の組織
1. 会話分析における修復連鎖
2. 修復のタイプ
3. 修復開始の位置
4. 修復開始の技法
4.1. 自己開始修復
4.2. 他者開始修復
5. 自己修復の優先性
6. 日本語特有の修復
6.1. 「ていうか」の使用
6.2. 指示代名詞の使用
6.3. 格助詞を含んだ修復
7. まとめ
第6章 物語を語ること
1. 物語りの始まりと終わり
1.1. 物語りの始まり
1.2. 物語りの終わり
2. 物語りの展開
3. 物語りと非言語要素
4. まとめ
第7章 受け手に合わせたデザインと成員カテゴリー
1. 受け手に合わせたデザイン―場所と人への言及
1.1. 場所への言及
1.2. 人への言及
2. 成員カテゴリー
2.1. 人への言及と成員カテゴリー
2.2. 成員カテゴリー化装置
2.3. 成員カテゴリーと文化
2.4. 会話における成員カテゴリー使用の分析
3. まとめ
第8章 相互行為と文法
1. 会話の「文法」とは何か
2. 発話産出の実践 
2.1. 投射
2.2. 発話を区切るための資源
3. 行為連鎖の位置により異なる役割を果たす文法
3.1. 発話を組み立てる資源としての語順
4. 実践としての文法
5. 会話分析的アプローチによる言語研究の姿勢
6. まとめ
第9章 教室内相互行為―制度的場面の分析
1. 制度的場面の相互行為
2. 教室における相互行為
2.1. 教室における相互行為の会話分析
2.2. 教室というコンテクスト
2.3. 教室内相互行為における質問と応答
2.4. 教室内相互行為における第3順番
2.5. 会話分析で「学習」を示せるか
3. まとめ
参考文献
付録 データ収集に際しての承諾書サンプル
索引
著者紹介

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本書から: 「はしがき」(pp. i-ii)より

会話分析は、私たちが日々当たり前に経験しているなにげない言葉のやりとりを微視的に捉えることによって、そこに、複雑だが秩序があり、その精密な組織の上に日常が成り立っていることを顕にしてくれる顕微鏡なのだ。(中略)会話分析の入り口でハードルの高さを感じる方がいるとすれば、それは 恐らく、今まで「顕微鏡の扱い方の基本」を平易に説明してくれる日本語の「取り扱い説明書」が存在しなかったからだろう。本書は、そのような「取り扱い説明書」たることをめざしたものだ。(高木智世)

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著者に聞く ── 一問一答

本書を出版しようと思った動機やきっかけを教えてください.
日本には会話分析を基礎から学べるテキストがないと感じたからです。
構想・執筆期間はどれくらいですか?

2003年にPaul DrewとGail Jeffersonが来日してセミナーを行った際に、日本には会話分析の基本的なテキストがないということが高木と細田の間で話題になり、そこから構想し始めましたが、本格的に執筆作業を始めたのは2013年ごろです。
編集作業中のエピソードがあれば教えてください。
日本語での事例を集める(探す)のにかなり苦労し、来る日も来る日も事例を探していたのを覚えています。会話分析用語を日本語にどのように訳すべきなのかという問題も常にありました。また、お互いが書いた章を何度も読み、コメントし、修正し、改訂を重ねる過程でいろいろ学ぶことができましたが、分析の精緻化、文章の分かりやすさや正確さについて追求することはキリがないと実感しました。
本書の「売り」は、どのようなところにあるとお考えですか?
まず一つ目は、筆者達は、もともと言語学をバックグラウンドとし、言語教育にも携わっているので、同様の立場の方が会話分析についてわかりづらいと思われるであろうことは特にできるだけわかりやすく書いたつもりです。二つ目に、練習問題(課題)がついており、その章で学んだことを振り返って復習することができるという点です。
言語学者にとくに読んでほしい箇所はありますか? またその理由は?
全てです。上述のように、筆者達自身が言語学を学びながらも最終的に会話分析の手法に辿り着いた理由が、全編を通して読んでいただくとご理解いただけるかと思います。特に2章の『会話分析の視点と研究プロセス』、および、8章の『相互行為と文法』では、「言語」を分析対象としていても、従来の言語学と根本的に「言語」の捉え方が違うことがわかると思います。
認知科学者にとくに読んでほしい箇所はありますか? またその理由は?
やはり2章の方法論についての箇所です。認知言語学とのアプローチの違いがわかると思います。
言語教育者にとくに読んでほしい箇所はありますか? またその理由は?
9章です。言語教育の現場を会話分析の立場からどのように検証できるのかについて書かれています。
どのような方に、どのような仕方でこの本を読んでほしいとお考えですか? また読む際の留意点がありましたら、教えてください。
主に会話分析に関心のある言語学・言語教育に携わる方に読んでいただくことを想定しています。また、専門分野に関わりなく、会話分析の基本的な概念を知っておきたい方、自分の研究で相互行為を分析することが必要だが、実際の会話をどう分析したらよいのか、何から始めたらよいのかわからないという方にも読んで頂ければと思います。ご自身で会話データをお持ちの方は、そのご自身のデータも見ながら読まれると、より理解が深まると思います。また、会話分析を授業で取り上げられる先生方にはテキストの一冊として、そして学生さんたちには独学用としても使って頂けるかと思います。

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書評情報

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本書で扱われていること ── キーワード集

会話分析、相互行為、言語学、言語教育、基本組織(順番交替・行為連鎖・修復)、優先組織、物語り、受け手デザイン、成員カテゴリー、相互行為と文法、教室内相互行為

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